徒然なるままに

日常のあれこれなど

見事にブッ刺さったアニメ映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

まさかの号泣だった。・゜゜・(/□\*)・゜゜・わ~ん いや、マジで、こんなに泣くなんて思ってもみなかったから、自分自身が一番驚いているよ……。何の予備情報もなくただAmazom Prime Videoさんがさ、やたらリコメンドしてくるアニメだったからさ。パっと見ぃ、キャラ画も嫌味なかったし、第一「鬼太郎」だよ? いつもの「鬼太郎」だと思うじゃん! なのにこんなに涙腺を崩壊させられるなんて思ってもみなかったよ。

時間にして1時間45分。一つ一つのカットが多分、練りに練られたものなんだと思う。
冒頭は「鬼太郎」のいる現代なのだけど、大きな悲鳴とともに物語は、昭和31年という終戦から11年しか経っていない時代へと遡る。

今の日本では考えられないことが普通に行われていた時代。
貧困に喘ぐ者は己の血液を売る=売血(有償で採血し保存・提供する機関として血液銀行がマジで存在していた)で収入を得る描写、汽車の中での堂々とした喫煙。
絵空事ではない、かつての日本の有り様であり、私より上の年代の人の中にはその頃の記憶が色濃く残っていたりもするのだろう。私だって、電車や汽車の中で喫煙する大人がゴロゴロいたのを記憶している。今のように全席禁煙とかじゃないし、喫煙席とか明確に分けられていた時代ではなく、普通の座席でプカプカってやつ。(笑)
いや、流石に「売血」についての記憶はないよ。だって私、まだ生まれてなかったからね~。この時代には。_(^^;)ツ アハハ

私の知る「鬼太郎」は平たく言えば『正義の鬼太郎が悪い妖怪を退治する』って感じから始まったけれど、時代を経ていくにつれて、悪い妖怪というより、人間のせいでそうなってしまった妖怪=原因は人間側って描写も出てきたよね~。しかも大人になってそれらを観ると色々と考えさせられたりしてさ。(;^_^A でも基本的には子供向けのアニメという作り方だと思うの!

だけどね。( ̄^ ̄)
今回のこの映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、大人にもブッ刺さると言うか、大人だからブッ刺さるのでは? と思ってしまう。しかも刺さり方は多分人それぞれ。置かれている立場によって受け取るものが異なるかも知れない。戦争を知らない世代の大人、子供を持つ親の立場の大人、戦争を知っている世代の大人、家族のために、生活を守るために必死で働いている大人――たくさんの大人たちが、きっと何かを感じる映画ではないかな……と思ってしまうのね。

私は完全にブッ刺さった! Amazon Prime Videoさんなんで、何度も観て何度も号泣。と言うより、観る度に感じるものがあって観る程に泣ける。これは何?!
あらすじやストーリーを知ってしまっても尚、沸き上がるこの感情は何だろう?
計算されつくして、余分なものは恐らく削ぎ落されていて、本質剥き出しで突き刺してくるのが怖い。けど、観ずにはいられない――って感じがして、何十回もリピートしまくりの作品になってる。

あらすじやストーリーは公式サイトやウィキペディアが詳しく教えてくれるから、気になる方は、そちらを参照をば。でも、予備知識なしで観るのが私的にはオススメ!
あ!! 但し、アニメでキャラ画に拘る方は、公式サイトのチェックはしておいた方がいいかな。(笑)

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公式サイト

映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』公式サイト

11月17日(金)公開!!水木しげる生誕100年記念作品の完全新作長編アニメーション。初めて明かされる、鬼太郎の父たちの物語

勿論、上記の公式サイトでは、映画の予告編とかも観れるから、どんな雰囲気かも確認出来るし、そこで「無理!」って思わなければ、一見の価値ありでは?

私は公式サイトを確認することなく、いきなりAmazon Prime Videoさんで観ちゃって、後からこの予告編を観たんだけど。予告編ってほんと上手く作るよね~(爆)ま、当然だよね。これで「観たい!」って思わさなければいけないんだし。( ̄∇ ̄;)ハッハッハ

鬼太郎の原作者である水木しげる先生の生誕100周年記念作品で公開されたわけだけど、水木先生は第二次世界大戦に出征し復員してきた、まさに戦場を知る人だよね。(先生の作品の『総員玉砕せよ!』は有名だし)
復員して、紙芝居作家を経て、貸本漫画家としてデビュー、『墓場鬼太郎』を始め『ゲゲゲの鬼太郎』などが生まれてくる。時代としては日本はスクラップビルドの途中で、今回の映画の時代とそう変わらない時代が鬼太郎たちの生まれた年かな。
都会ではコンクリートの建物が建っていくけど、田舎はまだまだ旧い日本家屋、因習や家長を頂点にした「家」という概念が残り、いくら戦争が終わったからと言って、そう簡単に何もかもが新しくなるわけじゃない。人の意識は長い年月を経て変わっていくものだし、変わることは悪いことではないよね。善いように変わることは喜ばしい。
けれど、善いものがどんどん薄れていって、やがては消えていくこともあるわけで、それは怖いなぁと思う。じゃ、善いものって何? って突き詰めると、全ての人が善いと認めるものもあれば、ごく一部の人は善いと思い、特に何とも思わないとか、反対にそれは全然善いものとは思えないって人もいたりする。意識や価値観って、人それぞれだから、全てが同じ方向を向くわけじゃないんだよね。

今回の映画は、鬼太郎の父(目玉おやじになる前の姿で登場)と、戦争から復員して血液銀行で働く「水木(みずき)」という人間の男の二人が主役なんだけど、その人間の「水木」が幼い子(トキヤ)にとある科白を吐くのね。

日本はこれからどんどん豊かになる。トキヤ君が大人になる頃には戦争も貧困もなくなって、どんな病気だって治せるような、そんな幸せな国になるんだ。

戦場を生き残り復員してきた「水木」にとっては、多分、半分はそうなって欲しいという希望だったのかも……と私は感じたのね。そして、その言葉を聞いたトキヤは、一緒にいた鬼太郎の父に「おじさんもそう思う?」と尋ねるんだけど。

トキちゃんたち、明日を背負う子供たちが本気で願うなら、そういう時代もくるかも知れんの。じゃが、変化を望まず怖れて潰そうとする者もおる。その鬩ぎあいで時代は紡がれていくのじゃよ。

幽霊族として永く生きてきた鬼太郎の父にしてみれば、そう綺麗事ばかりではないと、子供に対しても、ちゃんと言うんだよね。ただトキヤにはまだ理解するのが難しくて、「ごめんなさい。よくわからないよ」と正直に口にする。
その遣り取りを見て「水木」は「子供相手にそんな話してどうする」と鬼太郎の父を嗜めるんだけど、鬼太郎の父は「御為ごかしよりマシじゃ」と返す。

「御為ごかし」とは、表面的には親切に見せかけながら、本心では自分の利益を優先することって意味だけど、これ、この時の「水木」にとっては、グッサリ刺さる言葉だっただろうと思うし、私にも別の意味で刺さるわ。(T^T)クゥー
他人が自分に囁く言葉は、本当に親切からなのか、その人の利益優先で発せられてる言葉なのか、綺麗に聞こえる言葉ほど判らなくなるもの。(・_・、)グスン

でも、水木と鬼太郎の父が「御為ごかし」で言い合いになった時、トキヤが

難しいってことは解ったよ。でもだったら、より頑張り甲斐があるってことだよね。

って大人たちを取り持つように口にするのね。
この子、出来た子だわ~。うん!(^-^) 鬼太郎の父も「聡い子じゃ」って褒めたし。
そうだよね。頑張らないといけないんだよ、やっぱり。御為ごかしに惑わされず本気で願わなくちゃダメなんだよね~。

私はまだ独身だし、子供もいないけど、だからと言って次世代のことを何も考えてないわけじゃないんだよ。
私が生まれた高度成長期時代の日本のような右肩上がりの経済じゃないし、日々の暮らしはどんどんキツくなっていってる。このままじゃ、この国はどんどん人口が減って少子化になって、気が付けば国土も失って消えていくんじゃないかって。
子供を産んで人口を増やす――っていう部分では、もしかしたら貢献できないかも知れないけれど、次世代の人が少しでもより良くなるように、それ以外のことで貢献出来ればいいと思うし、そのためにはどういう方法があるのか勉強しなくちゃならない。一人の力じゃたかが知れてるかも知れないけれど、それでも、何かあるはずって思いたい。

思えば、私は何も知らなさ過ぎるなぁと思うのよ。全てにおいて無知だと、今更ながらに思い知るわ。(ノ_-;)ハア… それに、思いを馳せることも余裕がなくて出来てないし。

そんなダメダメな私に、この映画の終盤の鬼太郎の父の言葉と行動が酷く突き刺さるんだよね。

我が子が生まれる世界じゃ。わしが、やらねばならぬ。
それに――。
それに、友よ……。お主が生きる未来、この眼で見てみとうなった―

鬼太郎の父のように、ご先祖様たちが、今の私達のことを思ってくれていたのだとしたら、大きなことは出来なくても、その思いは繋げていきたいって思うし、そんなご先祖様たちがいたことを、忘れないでいたいと思う。

あ~、いつもこの終盤から涙が止まらなくなるんだよね~。
特に、鬼太郎の父のCVが関俊彦さんなんで、余計ですよ。。*✧ヾ(。>ㇸ<。)ノ゙✧*。
あの声で、飄々とした鬼太郎の父の、でも慈愛に満ち溢れた声を聞いたら、涙腺決壊は免れない。o(>_< *)(* >_<)o ジタバタ

そして劇伴は、あの川井憲次さんですよー! サントラ・劇伴の大御所様。
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊イノセンス東のエデン機動戦士ガンダム00009 RE:CYBORG等々を手掛けた大好きな作曲家・編曲家!
もう魂震えて涙が止まらないっ!。*✧ヾ(。>ㇸ<。)ノ゙✧*。
関俊彦さんと川井憲次さんという組み合わせからして、ブッ刺さらないワケがない! ( ̄‥ ̄)=3 フン

折しも、今、この国の政治においては、自民党の総裁選で「てんやわんや」してるみたいで、TVのニュースでは評論家さんたちがあーだこーだ言ってるけどさ。
この映画を観ると、大半の政治家さん達は器がちっせーぞ?! って思ってしまう。
国会中継を観ても、質問の回答になってなくない? ってよく思うのよ。綺麗な言葉で飾ってるけど、結局、何が言いたいん? みたいな。
鬼太郎の父の言葉を借りれば「御為ごかし」のオンパレード?
この国の政治家さん達は、一体「何処を」「誰を」見ているのだろう?
国家百年の計もままならず、責任を先送りにして自分達の懐具合だけ気にしてる?
その政治家さん達を選んだ私達国民の責任だから仕方ないじゃんって諦めたくはない!
中には、真剣に日本の将来を考えている政治家さんもいることは確かだろうし。
見極める力を身につけなくちゃ!

たかがアニメの映画じゃん! って思うかも知れないけれど、この映画を観ると、妙に現実の社会のことにも目が向くんだよね。何故だろう? もしかしたら、この日本という国の在り方そのものを問いかけているのがテーマだから……なのかも知れない。

だとすれば、この映画は、100年前の大正時代に生まれ、昭和の時代では戦争へ行き、戦地で闘い負傷して、復員してからは戦後の経済大国化していく日本を、平成の時代まで生きた水木先生からの、令和の時代を生きている「今の日本の私達」への問いかけとメッセージ――なんだろうなと思う。

因みに、この映画の考察をしているサイトがたくさんあって、私も色々と他の人の感想とか知りたいし、ちょくちょく読ませて貰ったりしてるんだけど、特に各シーンの感想とか詳細に書かれてあるサイト様があったので、ご紹介をば。(⌒∇⌒)
いや、私……何十回もAmazon Prime Videoさんで観てるけど、この方みたいに詳しく観察は出来てないわ。(;^_^A

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』各シーンや登場人物の考察|ほり🍠

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』各シーンや登場人物の考察|ほり🍠

https://note.com/guriko_hori/n/n26541f131d5a 映画から受け取ったメッセージ的なものは前に上記でまとめたので、今回は各シーンや登場人物たちについて自分なりに好きなところ、思ったこと、考察などをまとめようと思います。 ※以下おもいっきりネタバレ 各シーン振り返り 頭から思い出しながら書いていたら、目次だけでえらいことになってしまった。 文字数のカウント見たら3万字超えててこわい。 あらすじをそのまま書き写した読書感想文のようになってしまっている部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。 記憶だけに頼っているので、抜け落